ウソ★スキ
「どうして? ただのクラスメイトなんでしょ?」

「余計な心配させたくないからだよ」


ソラは目の前に並んだ難解なタイトルの文庫本を眺めながら言った。

「美夕、すげーな。こんな難しい本読むんだ?」

手に取ったのはドストエフスキーの『罪と罰』。


「そんなの……読まないよ」


あたしがマンガ好きなこと、ソラがよく知ってるじゃん。



「……キラは?」

ほら。

まーた、キラのことだ。


あたしはため息をついた。


「バス停で別れたよ。ソラも早く帰ってあげたら?」

「あ、ああ……そうだな」

「あたし、先に帰るね。バイバイ」





《ソラは、急に冷たくされると、すごく不安がるの》

キラに教えてもらった、ソラの攻略法。


あたしはそれを、ひっそりと実践していた。




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