ウソ★スキ
キラの家の玄関は開いていた。

あたしは小さな声で「おじゃまします」って呟くと、

わざと音をたてながら階段を上がっていった。


だけど、2階には、人の気配はなかった。


ソラも留守みたい……。


残念なような、ホッとしたような気持ちで、

あたしはキラの部屋に入ると、コンセントに刺さったままの充電器を抜きとった。


……ソラは、この家で1人、どんな夜を過ごしたんだろう?

思いがけずあんなことを聞かされて

キラは家を出たっきり連絡もなくて



なんとなくソラのことが心配になったあたしは、キラの部屋を出ると、

階段を下りずにソラの部屋の前に立った。


そして、ドアを軽くノックした。



「ソラ……いないの?」



返事はなかった。


だけど、どうしてだろう?

ソラが近くにいるような気がして、

あたしは、ソラの部屋のドアを開けてしまった……。



< 80 / 667 >

この作品をシェア

pagetop