その日、僕は神になった

三章

 扉をノックする音に気付き、僕は読みかけの本を閉じた。レイチェルだろうか?だが次に頭の中に響いた声は、彼女の凛としたそれではなかった。
『神、よろしいでしょうか?』
 誰だ?その声は僕の疑問を読み取ったかのように続けた。
『私です。カムイです』
 カムイ?記憶のない僕にはもちろん、彼が誰だか分らなかった。黙っているのも不自然だ、僕はその声に答えた。
『…カムイか、ちょっと待っててくれないか』
 かしこまりました。カムイと名乗る者の返事を聞き、僕はすぐにレイチェルに呼びかけた。『レイチェル聞こえるか?』
 すぐさま彼女の聞きなれた声が返ってきた。

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