その日、僕は神になった

七章

『レイチェル、来てくれないか。相談があるんだ』
 俺は頭の中から呼び掛けた。分かりました、彼女のいつもの声。だがどこか緊張の色が窺えたのは、俺自身が緊張していたからなのかもしれない。前日のやりとりを思うと、どんな顔をすればいいのか分からなくなった。だが今はそんなことを気にしている場合ではない、そう自分自身に言い聞かせた。
 いつものように扉を開き、室内に足を踏み入れた彼女に、いつものように椅子に座るように命じた。俺は彼女の顔を見る勇気が中々湧かなかった。だがいつまでも下を向いている訳にもいかない、意を決して顔を上げた。その時の落胆ようを、表情に出さずに済んだだろうか?そこにあったのは、レイチェル、彼女本来のそれだった。
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