「泣くのは嫌だからここまでね」という可奈子と別れ、俺はデッキに出て見送ることにした。

吹き抜ける春の風は、心地よく俺の頬を撫でていく。

「可奈子」

最後にもう一度、彼女の名を呼ぶ。

「あ。飛行機雲だ」

俺に答えるかのように長い尾を引き、抜けるような青空を飛び去っていく飛行機。

俺は水平線の向こうにそれが消える迄、その場を離れずに居た。

変わった感じの女、可奈子を思いながら。


超絶バイタリティー男 岡島秀章

~FIN~

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