「ああ、お前もな」

やべえ。

そう言っただけで鼻がツンとしてきやがった!

「アラがっちゃん。私のために泣いてくれるのね。はいハンカチ」



これは……そうか。

それでトイレに閉じこもりっきりだったんだ。

彼女から渡されたそれが湿っているのに気付いた俺は、全てが飲み込めた。

可奈子は一風変わった女だが、俺と別れるのはヤッパリ辛かったんだ。

俺は代わる代わる手に持ったハンカチと可奈子を見比べた。

「キタナかないわよ、鼻水なんか付いてないんだから」

そして可奈子は笑い泣き。

とうとうこらえ切れなくなってやんの。

俺か?

そりゃ泣いたさ。

慟哭って奴だ。

男は泣く時も豪快じゃなきゃな。


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