それに俺が今聞いたことに、大きく頷いているじゃないか!

「言葉は解らないわ」

猫が驚いたように可奈子を見た。彼女は続ける。

「心が読めるのよ」

途端に目を閉じ、偉そうにふんぞり返って大きく縦に首を振る猫。

「見て見てママー、あの猫アニメみたいな動きしてるよ~、ほらぁ」

目敏くトゥィンクルとかいう猫の、剰りにも猫離れした仕草に気付いたガキんちょが騒ぎ出した。

「ま、まずくないか?」

俺が焦って小声で伝えても可奈子はどこ吹く風、改めて猫を見てみると、ごく普通の猫のように毛並みを舐め整えたりしている。

「なぁに? 別に普通の猫じゃないの。嘘つきは泥棒の始まりよ?」

「嘘じゃないよお、ほんとにあの猫がぁ」

「はいはい」




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