宝石箱〜私達の宝物〜《短》

まだ夜が明けていない町を五人で歩く。

いつもは話し声で賑やかな住宅街なのに、この時間は異常なくらい静かだ。

全ての家が道路からでも見えるようにガーデニングしているけれど、この時間の花はなぜか全て冷たく見えてしまう。


そんなことを考えながら歩いていると、明け方とはいえまだ九月の頭なのに私は寒くなってしまった。

タンクトップなんか着てくるんじゃなかった。そう思いながら腕をさすっていると、なにかを肩にかけられた。


「ミィーサ寒そうだから貸してあげる」

肩にかけられたのは、タロの着てたシャツだった。

タロだってシャツ脱ぐとタンクトップなのに……

「ありがとう」

私はありがたくタロの優しさを受け取った。
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