W・ブラッティⅡ
「こちらが新城様のお部屋になります」


 従業員が案内した部屋は慎次たちの予想を遥かに超えた広さであった。


 まずリビングのようなベッドルームが二部屋、大型テレビが目立つリビングが部屋の中央に。そして床には真っ赤な絨毯。ベッドから飛んでも届かない天井には大きなシャンデリアが。間接照明も豪華を極めている。


 シャワールームも広く六畳間と同じくらいかそれよりも広い。
各部屋からは風景を切り取ったような大きい窓から札幌の街が見える。夜になると札幌の夜景が綺麗に見えて人気があるとのことだった。


「それではないかお困りの点がありましたら内線でお呼びください。すぐに伺います」


 従業員が一糸乱れない礼を終えた後部屋を後にした。


 その瞬間、四人が一斉に輪になって話し出す。


 内容は「本当にこのホテルで合っているのか?」や「騙されてるんじゃないのか?」など完全に疑っている。


 四人にしてみれば泊まりがけの旅行なんて行ったことがないのでホテルの相場というものが全く分からない。


 考えがまとまらないので良太が内線を使ってフロントに確認することで全員一致した。


 良太が電話をかけている間、慎次たちは電話の後ろで良太の後姿をただ見ていることしか出来なかった。


「あっ、もしもし十○○三号室の新城です。確認して頂きたいことがあって、はい。そうです」


 その後は確認のため少しだけの間、沈黙が豪華で広い部屋を支配した。
< 35 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop