◇◆センセイは俺の!◆◇
「知ってた…というか、気づいてた。」
馬場さんは、階段脇にある小さな小窓から外を見ながら、そう言った。
俺はそんな馬場さんの姿を黙って見ていた。
「見てたから、ずっと。角くんのこと…」
え?
そう言って、窓の外から俺の方にチラッと視線を向けた馬場さん。
へっ?とマヌケな顔した俺をみて、馬場さんは少し笑うと、“全然気づかれてなかったし”と皮肉っぽく言った。
何て言ったらいい?こういうとき。
何もいえずキョロキョロしてる俺に、馬場さんはこう言った。
「両想いなんでしょ?あの人と。」
「えっ!?」
「女の観察力と洞察力をなめちゃダメだよ、角くん。」
「まじで…知ってたんだ。」
バレちまってる…おそるべし…女子力。
「安心してよ、付き合ってることも言わないから!私、そこまで嫌な女になりたくないし。」
「馬場さん…」
馬場さんって、俺が知らなかっただけで…いい女なんだ…。
見た目とかそんなんじゃなくて、中身が。
馬場さんは、最後に
「ちゃんと思ってること言わなきゃ、伝わんないよ!」
そんなかっこいいことを言って、短いスカートでパンツ見えそうな勢いで走っていってしまった。
“思ってること言わなきゃ、伝わんない”
俺は、しばらくその言葉を頭のなかで繰り返しながら、小窓から外を見ていた。
綿の花のような、ぼたん雪が深々と降っていた。――――――――――