恋文〜先生へ綴る想い

「なんだ。今日はデートなんだし、普通に私服で来ればよかったのに」



そう言う先生はデートだっていうのにTシャツにジャージ姿で、髪の毛だって寝癖がついたままだった。



「先生の方こそもっと身だしなみに気を遣ってくださいよー!」



そう突っ込むと、



「悪いな…。けど、服装がどーでも俺は俺だ。それだけで十分だろ?」



しゅーた先生はそう言いながらハンドルをぐいぐい切って、私を国道に連れ出した。



「今日は俺の好きな場所に連れてってやるよ」


「え?」



先生の好きな場所?



「どこですか?」とたずねると、先生は「着いてからのお楽しみ」と言って、


オーディオをいじって、ラズベリー・サンデーのCDをかけてくれた。



「お前のCD、もうちょっと借りてていいか?」


「あー、別にいつでもいいですよー」



そんな会話をすると、先生は「悪ぃな」と言いながら、音楽に合わせてハンドルの上で指で軽くリズムを取った。
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