小悪魔男子



「こんなんじゃ駄目なのはわかってるんだよね…」



鏡を見ながら、本日2度目のため息を吐く。




今日こそは、と気合を入れて階段を降りた。


「さなちゃん!もう時間ないよ?」


大和が心配そうにして待っていてくれた。時計代わりにテレビを見ると、いつも占いが始まる前に出発するのに

今日はそれを大幅に通り越して、次のニュース番組が始まってしまっている。約20分遅れだ。


「やばっ!!遅刻ギリギリ!」

「急ご!!」



こうなる事が分っていたのか、おかあさんは朝ごはん代わりにおにぎりを持たせてくれた。


…作ってる暇があったら起こしてくれてもいいんじゃないのか、という疑問は飲み込んで自転車にまたがる。


「途中まで送ってったげる!乗って」


「わ~い♪」



小学校の校門へと続く道で彼を落とすように降ろして、あたしはいつもの3倍くらいのスピードで自転車を漕いだ。


もうそれはもの凄いスピードで。








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