小悪魔男子
「…何の話しだった?」
「しっかりしなさい!主役でしょ!?」
「…や~。やっぱり、違う人にした方が…」
夏休み前に決めたという役は、何故かあたしがお姫さま役で
何度も断った筈なのに結局やるハメになってしまった。
…本当は和樹ファンの子達がお姫様役を狙っていたって事、知ってる。
だけど、和樹に振られても健気に側にいるあたし(と思われてる)を哀れんだみんなが
勝手に喜ぶだろうと、決めてしまったらしい。
…結構迷惑な話しだよね。
「もう一度最初から!
ほら、小道具!赤ちゃん用意して!!
王様役、妃役、妖精役は配置に着きなさい!」
真希はあたしの訴えも無視して、メガホン片手にみんなを誘導する。
彼らも殴られたくないらしく、どやどやと教卓付近に集まる。
あたしと和樹はそこから退いて
薫ちゃんの側でみんなの演技を見ることにした。
「…それにしても。
あんたお隣さんとは顔合わせれるようになったの?…まぁ、担任だとしょうがないんだけど…」
2人目の妖精が喋っている所で薫ちゃんがそう尋ねてきた。