小悪魔男子
少し待つと、見覚えのある男の子がこちらに向かってくるのが見えた。
あぁ。ヒカルくんってダンスの時の…!
すっかり忘れていたあたしだけど、向こうは覚えていてくれたらしく
「こんにちはー」
と、気さくに話しかけてくれた。
「和服、似合うね。流石日本舞踊やってるだけあるね」
「…あれ?そんな話、しましたっけ??」
「あ、実は友達の薫ちゃんから聞いたの…。薫ちゃんって、この人ね。光君を指名したのもこの人」
光君は薫ちゃんを見て「ご指名ありがとうございます」と微笑んだ。
「は…ハァイ★」
外人か、おのれは。
ビューラーと、申し訳程度に塗ったマスカラで上がったまつげをアピールするように
一秒間に3回は瞬きさせるオカマ。
その必死さに光君は一歩引いた。
「え…と。ご注文はお決まりですか?」
逃げるためか、突然注文を聞き始める。うん。そうした方がいいと思う。
アイスコーヒーを4つ頼んで、足早に去っていく光君を見つめた。
「…おびえてたよ」
ぽつりと呟く真希。