小悪魔男子
渋る俺を座らせ、絆創膏をぺりぺりと包装紙から出すさなちゃん。
「いいのに…。こんなのキズに入んないよ」
近くに居る事に 今度は彼女の顔を見る立場になった事に
耐えられそうになかった。
「…じゃー大和と同じ位の傷口だったあたしのケガは何だったワケ?」
うまくかわされる。
「それは…」
なんと言おうか?”さなちゃんの方がひどい傷だから”?
……いや、少し困らせたくなった。
「さなちゃんが、女の子だから」
ややあって、笑いながら「別にそんなの…」と言う。
さらに俺は
「ダメだよ。…いつかはお嫁さんになるんだから」
と。
…自分でも何を言っているのか分からなかった。
お嫁さん と言って、”俺の”と 彼女が想像してくれるなんて限らないのに。
けれど、一瞬見せた悲しそうな表情に、あながち間違いじゃないという事に気づく。