小悪魔男子
「家、あっち?」
「はい」
あたしの歩幅に合わせてくれてる…。傘も、安藤さんはほとんど入ってなくて肩が濡れちゃってるよ。
悪いと思いながらも、あたしに優しくしてくれているのを実感できて嬉しかった。
会話はずっとなかったけど家まで半分くらい来た位のとこで、彼は突然口を開いた。
「さなちゃん、違ってたらごめんね」
「何ですか?」
「俺の事好きなんでしょ?」
ピタ…。歩みが止まる。
「……どうしてそれを…」
「…なんとなく。そんな気がしたんだ。
そっかー…。俺のこと好きなんだ」
ドキドキドキドキ…
なんで?今言わなくても良くない?
どんな結果でも、気まずくなるよ!家まではまだ10分もかかるのに。
「あの…さ」
この切り出し方…振られるのかな。
緊張が一気に高ぶった。