小悪魔男子






「…ッ…まだ…何で涙が出るのか分からないの…。

…ううん…気付きたくないの。

もう少しだけ


気持ちを整理したい。


和樹…ごめんね」



そう言うと、彼は哀しげに微笑んだ。


「――いいよ。

俺への返事は整理がついてからで。

…ほら、あいつを探しに行った方が良い。


また…学校で」



「うん…」



涙を拭いて、大和が去っていった方向へ向かった。








――――――――――…………


「ここにいたの」



「………」



大きな観覧車の前にあるベンチに大和は居た。



足を開き、ひざに肘を乗せて顔を支える格好でそっぽを向いている。



「探したよ」



園内中を探し回って


ようやく見つけたのはもう日が落ちる直前だった。



夕焼けを体中に浴びながら、彼の隣に座る。



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