薔薇姫-another story-
…嫌われて、当たり前だ。
マレッタ様の気持ちが、変わらない保証なんてない。
なのに、私は。
マレッタ様の気持ちが変わっていて欲しくないと、心のどこかで願っている。
これは、この気持ちは―――…
「…ロゼリナータ様」
不意に名を呼ばれ、心臓が跳ねる。
真っ直ぐに私の瞳を見るマレッタ様は、やはり綺麗で。
「わたくしは、ロゼリナータ様が好きです」
先程見せた涙も。
今見せた笑顔も。
全てが―――愛しい。
「私も、マレッタ様が好きです」
自分でも驚く程、素直に口をついて出た言葉。
そう、この気持ちが…"好き"だと気付いた。
「………っ」
「…泣かないで下さい」
ポロポロと涙を零すマレッタ様の頬に、そっと手を添える。
マレッタ様は口を尖らせて、「嬉し涙ですわ」と言った。