薔薇姫-another story-

驚きの表情を見せたレオに、瞬時に降り注ぐ拍手の嵐。


それは、俺たちが裏切りの烙印から解放された証だった―――…



「―じ、親父っ!聞いてんのか!?」


レオに耳元で怒鳴られ、俺は現実に引き戻される。


「あー悪い。思い出に浸ってた」


「行こーぜメイ」


…またシカト。


けど我が子ながら憎めないんだな、これが。



苦笑する俺に、不意にレオが振り返り、口を開いた。


「親父も早く来いよ。主役がいなきゃなりたたねぇんだからな」


「…は?」


間抜けな返事を返す俺を無視して、レオが歩き出す。


メイちゃんがため息をついて、俺にそっと耳打ちした。



…なぁ、レオ。


お前を息子に持てて、俺は幸せなんだ。


お前の元気な姿が、俺の全て。



『今日、マオさんの誕生日でしょ?パーティーするんです…レオ主催で』



保証しよう。


これから先何があっても、お前は幸せでいれると。





大切な誰かが、そばにいる限り。





-+裏切りの烙印 end+-



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