ふたつの指輪
あたしは、携帯を片手に、呆然と尊さんを振り返った。


「魁人くんからだ」



尊さんは無言で、片方の眉だけをすぅっと上げた。




「……はい」


「久し振り、瞳衣」


1ヶ月前と何も変わらない、なめらかな、やさしい声が、受話口から聞こえた。


魁人くんの声を合図に、あたしの心臓がバクバク言いだす。



「魁人くん……久し振り」

「ごめんね、遅くに。

こんな時間に電話してよかった?」

「もちろん、全然いいよ」

「……長い間放ってて、ごめんね。

瞳衣、怒ってる?」

「ううん、いいの、そんなの」


電話の向こうから見えるわけもないのに、あたしは必死で首を横に振ってた。

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