ふたつの指輪
(あれは――幻?)


ううん、幻じゃない。

あたしは、確かに、魁人くんと――




しかし。

残念ながら、余韻に浸っているヒマはなかった。


混乱気味のあたしは、しばらくしてやってきた知らない人に、有無を言わさずここに引っ張ってこられた。





呆然としてるあたしにインターフォンの音が襲いかかる。


「お客さんですよぉ」


気の抜けた声。



「……はい」



今度こそ、ホンモノのお客さん。


あたしが、考えたくもない”サービス”をしなくちゃいけない、お客さん。
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