ふたつの指輪
人には黙ってろ、と言っておきながら。


しばらくすると、その人はあたしを上から下までじろじろ見て、口を開いた。



「おまえ、そんな服着てると完全に高校生だな」

「……」


どうせ童顔ですよ。



「レナとか言ったっけ」

「あれはお店での名前で、瞳衣(めい)っていうの」

「メイ?」

「ひとみ、に、ころもって書いて」

「……」


その人は無言で軽くうなずいた。


「そっちの方があんたらしいな。

……俺は二階堂尊(タケル)」


「タケル、さん……」



名前まで、ヒーロー物の主役みたい。
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