ふたつの指輪
もう救急車に乗せられて搬送されようとしているところだった。

隣でただ泣き叫んでる瞳衣に手を握られて。


お腹のあたりを血だらけにした、あいつが。



道に残されたのは、ぞっとするような血の海。



(出血が――多すぎる)



何があった?


遠巻きに眺める野次馬たちに確かめようもなく、俺も急いで救急車に乗り込んだ。




あとで聞いた話だが。


ああいう飲屋街は、多くの店のバックにヤクザがいる。

その絡みで、何か危ない橋を渡ったらしい。



あいつらしいといえばあいつらしい。

何かうまい話でも持ちかけられて、目がくらんだんだろう。
< 307 / 331 >

この作品をシェア

pagetop