私の夢と、彼の事情
小屋の隅の、大きな蜘蛛の巣の真下に、
いつのまにか全身青い服を着た人が
立っていた!

数メートルの距離なのに、なぜか顔が
よく見えない。

私は声にならない叫びを上げ、咲の腕に
しがみついて、動けなくなった。

「どしたの?」

咲がびっくりして聞く。私が口をぱく
ぱくさせて、部屋の隅の方を凝視して
いるのに気づくと、咲もそちらを見たが、

「ねえ、どしたの?」

と眉をひそめ、困惑した声でまた聞いた。
咲には見えてないんだ・・
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