心が先か命が先か
加奈子との長電話が終わると亜々は、急に書道の練習を始めた。練習の文字を゛魔法″と書いてみた。
亜々は、急に母親と会話をしたくなった。
 次の日、亜々は寝坊した。朝から大きな母親の声をきき、やっぱり反抗期だし、母親の魔法というものに、かけられたくなかった。しかし「いってきます」と久々にいうと、その重い魔法がとけた気がした。
亜々は、通学路を毎朝掃除している大人が通学する学生を監視しているようで、これまた苦手だった。
いつも目を反らす亜々は、掃除している大人を凝視してみた。しかしこの大人の人、掃除に夢中で学生には無関心だったのである。
亜々は少し微笑みながら、この変化を加奈子に手紙で知らせたくなった。
授業中に加奈子に手紙をかいた。
そして、休み時間に、廊下にでてみると、奥にある加奈子の教室まで一人でいけるか不安になった。休み時間の廊下も1年の時と違い変化がおきていた。
大声でキタナイ言葉で話す男子の大量な群れがある。髪の色が特殊な生徒が数名いたりもする。グループで心臓をとめる遊びをして倒れてる人もいた。亜々は変化は、自分だけではないと思った。
その変化をコントロールする大人が敵に見えたり、周りの変化を見て冷静になれたりと亜々の心も不安定だった。加奈子の教室に着き、加奈子の顔を見ると、そんな心が安定した。
加奈子は、手紙の返事を今度するといいながら、亜々を教室に送った。
その日から、加奈子から亜々に連絡はしばらくなく、夏休みに入って3日目のことだった。加奈子が突然に電話をしてきた。「会いたい」といってきた。近所の公園で二人は久しぶりにあった。
加奈子は、妊娠していた。検査薬で陽性だったといった。二人は、すぐに病院に確かめに行った。その日の夜、加奈子は亜々の家に泊まった。
大人には、妊娠していることは、秘密であった。夕ご飯を家族で食べる時は、二人はとても緊張していた。
その日の夏休みの夜は、深い夜になった。加奈子は、彼氏の話しと今の不安亜な話しと、自分が産まれてきた話しを、朝まど永遠としていた。
そして二人は徹夜で、命や心について考え熱く語った。母親の体の先に宿るのは、心が先か命(心臓)が先か、と、二人は不思議な謎を追求しはじめた。
二人は熱く語り、それぞれの心にきいたりした。そして人間は心が先に母体に宿り、次に命(心臓)が宿る。
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