a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


翌日、楽器を部室に置くのを忘れ(遅刻ギリギリの為部室に寄る時間が無かった)、教室に持ち込んでしまった明衣は、その邪魔臭さにため息を吐いた。

美帆子がそれを見て、楽しそうに微笑む。


「明衣、ひょっとしてバンコン出んの?」


「うー、不本意だけどね…」


明衣は苦笑して返す。美帆子はギターのケースを触りながら、物珍しそうに尋ねる。


「明衣は何の楽器?ギター?」


「そ。ギター。難しくてやる気しないよ……」


「いつに無く弱気なんだね。いつもなら啖呵切ってんのに、桑島と」


「昨日徹夜したから……」


明衣は僅かに痛む指先を眺めた。少し押したりしただけで、まるで青痣のように鈍く痛む。


何で自分がこんな目に……と思いながら、明衣は惰眠を貪った。





< 138 / 313 >

この作品をシェア

pagetop