a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
がくん、と後ろに体重がかかって思わずよろけたが、何とか踏み留まって振り向くと、数人の男が立っていた。
顔見知りの者は居ない。
「……あの…?」
不思議に思って声を発すると、男の中の一人が尋ねてきた。
「お前…暁(あきら)さんの息子か?」
「……え…」
暁は父の名だ。
沚は間抜けな表情で立ち尽くすが、男の方は何やら複雑そうな表情で、「そうか、大きくなったな」と呟いた。
話が見えずに棒立ちの沚に、男は苦笑する。
「いやぁ、以前仕事先で写真を見せてもらったことがあるんだ。俺、この先の居酒屋で働いてんだけどさ。
目許がよく似てるよ」
「…………」
傘をさり気なく傾けてくれたことに気付いて、沚は軽く頭を下げながら、そう言えば父は親馬鹿だったことを思い出す。
目頭が熱くなった。
「大変だったな。俺も驚いちゃったよ。けどな、昼間っからこんなトコ歩いてちゃダメだぞ。補導されちまうからな」
ポン、と武骨な手のひらが、沚の頭に置かれる。
父のそれと、重なった。