a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
*終わりとそれから*
◆
3月1日。
明衣達二年生は、三年生にリボンを付ける係にあたっている。
朝、三年生が登校し始めたのを見計らって、教室に突撃していくのだ。
「いい?絶対蘭先輩に付けるのよ?」
「わ、わかってるってば!」
明衣は教室の前で五月女に睨みを利かす。五月女は顔を真っ赤にしながら、リボンを握り潰しそうになっている。
「あたしは桃子先輩に付けてくるから。頑張ってよね!」
「あっ、明衣ちゃんっ」
さっさと教室に入って目当ての先輩にリボンを付け始める明衣に、五月女は溜息を吐いてしまう。が、本郷は男女問わず人気の先輩だ。
もたもたしていれば、先を越されてしまうかもしれない。
意を決して本郷のクラスに足を踏み入れると、いきなり彼女と目が合ってしまった。
「お、お早ようございますっ、先輩!」
「おはよう良祐。あ、もしかして、私にリボン付けてくれるの?」
「は、はい!勿論ですっ」
緊張しているのか、声をやたらと張り上げる五月女に、本郷は笑いを隠せない。
「じゃあ、お願いね」
そう言って微笑んだ彼女の顔を見て、五月女は安全ピンを指に突き刺してしまうという痛いミスを犯してしまったのだった。