a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


食事を終えた子ゴリラは、黒いガラス玉のような瞳で、じっと明衣を見つめていた。

明衣は思わず胸がキュンとして、その目を見つめ返した。

──成る程、麗の気持ちが判らなくもない、子ゴリラ可愛い。

明衣は麗に負けず劣らず、だらしないくらいに頬が緩み切っていた。 


「可愛すぎるー!いくらかなぁ……」

「だから何でも買おうとするなよΣ!!」


麗は子ゴリラを見ながら考え込むように目を細めた。

それを見た明衣は、危ないお嬢様の思考に素早くツッコミを入れた。


「もう、麗ったら可愛いものには目が無いんだから♪
動物園の動物を買うなんて、幾ら何でも無茶よ」

「お前もな!!」

苦笑する華に、疲れ切ったような表情でツッコんだ明衣は、お嬢様トークに頭痛がした。


「さっきから明衣ちゃんピリピリしてない?」

「誰のせいだよ……」


五月女が心配そうに尋ねれば、げっそりとした彼女は呟くように答えた。


──どいつもこいつも何なんだ〜!


明衣は、心の中で嘆いた。





< 44 / 313 >

この作品をシェア

pagetop