a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
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数時間が経過し、キィ、と五月女の座る椅子の音が、静かな室内に響いた。
五月女はプリンターに溜まっていた紙を抜きとり、端を揃えるようにトントンと机に打ち付けた。
そして、う〜んと唸りながら大きく伸びをし、部室を見回した。
「うわぁ何時だろ……?」
すっかり周りのことを忘れ、調べ物に没頭していた所為か、雨は止み、窓から差し込む光は既に茜色だった。
しまったな、と思いながら立ち上がると、ソファーに座ってこちらを見ていた本郷と目が合った。
彼女は五月女を見ると、にこりと実に美しい笑顔で言った。
「お疲れさま。良い情報は有った?」
「えΣΣあ、はいっ。一応新聞取ってない家をリスト化したんですけど、凄くいっぱいあって…」
「そう。良かった。まずは疲れたでしょうから、これ」
そう言った彼女の手から差し出されたのは、コンビニのサンドイッチだった。
ジュースのパックも同時に手渡され、五月女は落としそうになりながらもそれを受け取った。
「先生からの差し入れよ。今日はもう帰るから、終わったら食べてって」
「ありがとう…ございます」
夕日に照らされた彼女の笑顔に、五月女はしどろもどろに答える。
彼の顔が赤いのは、夕焼け空の明かりが、その顔に差していたからだろうか。