Magic Academy ~禁書に愛された少女~
月明かりがそらを照らした。その光に、そらは不思議と気持ちが落ち着くのを感じた。

「…誰かいますかー?」

小さい声で、そらは尋ねながら、中に入っていく。もちろん、返事はない。

「はぁー…」

そばにあった椅子に座って、そらは少し考えてみる。

確かに、歌声が聴こえた。そらだけではなく、他の3人も聴こえていたから、幻聴や聞き間違えといったことは考えにくい。
歌声は、扉を開けるまでは聴こえていた。
中にはいると、声はピタリととまって、なにも聴こえなくなった。

「今と入るまでの違いって、扉が開いているか、閉まっているか…」

もしかしてと思い、扉に駆け寄った。
そらはごくん、と唾をのみ込むと、扉に手をかけた。
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