禁じられた遊び
私の気持ちに…

自分ですら気づいていなかった気持ちに、勇人が気づいていた

馬鹿だね、私って

本当に馬鹿だ

桃香ちゃんや克波を傷つけて、そして勇人まで傷つけた

全て桃香ちゃんのせいにして

本当は私がいけないのに

私が本当の心を隠していたから

ううん
気付かなかったから、いけないんだ

玄関のほうで、鍵が開く音が聞こえてきた

え?

勇人が帰ってきたの?

今夜は、桃香ちゃんのために用意した部屋で過ごすんじゃなかったの?

私はベッドから出ると、玄関に向かって走った

明るい玄関で、靴を脱いでいるのは…

勇人じゃないっ!

違う

あの体型は、克波だ

私は廊下の途中で、歩みを止めると克波の全身を眺めた

「ど…どうして?」

私の声がかすれた

喉がきゅうに乾いて、カラカラだ

喉が張り付いて、言葉を止めているみたいに、言いたい言葉が塞き止められた

「よっ! 小花が一人で泣いてるって勇人さんから連絡が来たから」

克波がいつもの笑顔で、微笑みかけてくる

乱暴に靴を脱ぐと、大股で近づいてくる

「…んだよ、部屋、真っ暗じゃん
寝てたのか?」

「え…ううん」

私は首を振った

寝てない

寝られるわけないじゃない

勇人が連絡してくれたの?

私が泣いているって?

…泣いてないよ

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