禁じられた遊び
「ごめんね、克波」

「あ?」

克波が首を傾げた

「何のこと?」という表情をして、私の横を通り過ぎると居間のほうへと進んで行った

居間が明るくなる

私も身体の向きを変えると、居間に入る

すでに克波はソファに座って、くつろいでいた

「なあ、勇人さんと…どうするんだ?」

克波が質問してきた

「うん…別れた…のかな?
よくわからない
付き合おうって言葉もなかったから、たぶん、小山内君の中ではもう終わったんじゃないかな?」

「小花は?
小花の中ではどうなんだよ」

克波が静かに質問してくる

感情を抑えて、冷静な声だった

克波っぽくない

「終わった
最初から始まってなかったのかもしれない」

「そっか
いいんじゃねえの?
…てかさぁ、水、飲みてえんだけど」

「え?」

「だから、水」

克波がドアのところに立っている私の顔を見てきた

「あ、うん」

「…たく
飲み損ねたら痛ぇんだよ」

克波が小さい声で独り言を言うと、癖っ毛の髪をガシガシと掻き毟った

「どうしたの?」

「え? …あ、何でもねえよ」

私はキッチンで、コップに水を入れると克波に持って行った

克波は白い粒を口の中に通り込むと、水を一気飲みした

え?

薬?

何で、克波が薬を飲んでいるの?

「どっか悪いの?」

「いや、別に」

「だって、今の薬でしょ?」

私は克波の太ももに手を置いた
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