禁じられた遊び
「テツがまだ来てねえのに、勝手に帰るんじゃねえよ」

テツさんが、また迎えに来てくれるの?

テツさんにだってプライベートをあるはずなのに…そんなに迷惑はかけられないよ

「一人でも平気だから」

「平気じゃねえから言ってるんだろうが
それとも、九条と帰りてえのか?」

「克波さんと?
なんで一緒に帰らないといけなんですか?」

「はあ?」

勇人さんがあたしの隣に立つと、上から睨みつけてきた

眉間にしわが寄っている

相当、機嫌が悪そうだ

どうして、あたしは勇人さんの機嫌を損ねてしまうのだろうか?

あたしは勇人さんの顔を間近にして、口もとにクッキーの破片がついているのを発見した



食べてくれたんだ

きっと小花さんが持って行ったからだ

勇人さんも、小花さんのクッキーを食べたかったに違いない

だけど克波さんの気持ちを知っているから、遠慮してたんだ

なのに、あたしのクッキーだけを食べるから、動揺して小花さんのクッキーを食べ損ねたんだ

良かった

勇人さんも小花さんのクッキーを食べられて

「何、笑ってるんだよ!」

勇人さんの目がつり上がる

「甘いものも食べられるんですね
小花さんのクッキー、美味しかったでしょ?」

勇人さんの目が大きく開くと、あたしから視線をそらした

恥ずかしそうに口元を、手の甲で拭うと喉を鳴らす

「わざわざ部屋に持ってくるから、仕方なく食べたんだ
勘違いするな」

勇人さんの頬が赤くなった

勇人さんでも、表情が崩れるんだね

今の顔、なんか可愛い

年上だけど、可愛いなあ

小花さんが好きなんだね、勇人さんも

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