おいしい紅茶を飲む前に
 テムズを船が行く。

その向こうにぼんやりと浮かび上がるのは、悪名高き、あのタワー。

シェイクスピアに学ぶ歴史は、残忍ながらもどこかが常に美しい。まるでこの街そのもののように。


 そんなことを思い、口元をほころばせていたシェリルは、自分から離れたところでフレディの声がすることに驚いて振り向いた。

たった今までいつものように、横に立っていたはずなのに。

いつものように。
いつの間に?


 彼が話している相手は、彼よりもまだ背が高かった。

背だけではなく、全体的に一回り大きい。
フレディにはない逞しさがある人だ。
< 28 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop