おれの恋


抱き締められて、抱き締め返して

締め切った窓と、思いっきりキツく抱き締められた体が

新鮮な空気を欲しがる



『空…愛してる。ほんまにほんまに愛してる…』


「アタシも。光のこと愛してる!やっと両思いやな♪」

って、からかうから

腕の力を緩めて、空の顔を覗くと

頬をピンクに染め女の子の顔をした空がいた。







このまま、時間が止まってくれたら良いのにって思っても、時間は待ってくれない。


次第に明るくなって行く空が、俺達の口数を減らして行き



「そろそろ…帰ろっか…」


『うん…。』

この瞬間が一番寂しい…



無意識の内に繋いだ手に、力が入る。



『あと5分だけ…』


「いいで。」



目が合い…ゆっくりと目を閉じる空。

そして、そんな空の頬を撫でて唇を落とした。



「幸せ。」


『俺も幸せ。』




幸せが、不幸が、寂しさが、嬉しさが

色んな形になって、俺の中を埋め尽くして行く。










『また、連絡するから!空も連絡しろよ〜!!』


「うん♪待ってる。それじゃ…」


『先に行って!』



小さくなり、消えて行く空の背中を見届けて

俺も家路についた。







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