おれの恋


「光が好きやって言ってくれた髪…切っちゃった。ずっと光のこと思って伸ばし来た。やけど、切ったって無駄なの。やからさー…もう誤魔化すの止めてもいい…?」


そう言って、俺の手を握り真っ直ぐこっちを見て来るから

恥ずかしさから、目を逸らした。



「今まで気付かないフリしてた。やけど…もう自分の気持ちに嘘つくの止めにする。アタシー…光が好き!恋愛感情で、一人の女として弟に恋しました!!」



こんな時ですら、空のリードがないと言えない自分の気持ち…。


もう、隠さなくて良いん…?

全部、伝えて良いん…?



"ウジウジするな!!"


あの日、大和に言われた言葉を思い出した。



『俺も…空が好き。ずっと空だけ見て来たんやで!』


「良かった!」って言って笑うのに…

涙を流しているのは、一緒になれない事を分かってるから?



『空…。どうしたら俺の気持ち全部伝わるんやーー。』


この気持ちを、一言で表す事なんて出来ない。

むしろ、恋なんて一言で片付けられたくもない。

やけど、上手く伝える方法を…誰か教えて下さい



「アタシだって!!てかね、お願いがあるの…。」


『なに?』


「来週のアタシの誕生日…その日だけで良いから、アタシの為に時間作って欲しい……」


すっかり忘れてた……来週は空の誕生日や…。


『バイトが終わったら、速攻で駆け付けさせて頂きます!笑』


「ありがと〜!!嬉しい♪」


狭い車内で抱き付いて来る空が可愛くて

全身から〈好き〉が溢れ出して

情けない事に…それだけで泣きそうになった









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