おれの恋




たった一歩…それだけなのに


前に踏み出す勇気がなかった。



無理矢理、連れ出す力がなかった。



明日を見る余裕がなかった。



物分かりの良い子を演じて、駄々をこねる子供になれなかった。



こんなに思ってるのに


上手に愛してやる方法が分からなかった。







こんな風に、ウジウジと言い訳ばっかりしてるから

強くなれないんやな…。



いつまで、空に心配かけたら

俺は学習してくれるんやろう?








「あたしとー…


 姉弟で生まれてくれて


 ほんまに、ありがとう。」









自分の血を憎んだ。

オトンやオカンを憎んだ。

楽しそうな顔をする人を羨んだ。



……そして、

こんな、情けない俺自身を

一番に恨んだ。








それから、一週間後…

空は全てを捨てて、帰って行った。








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