おれの恋


━着信*海━


普段、海から電話なんて来ないから

珍しい人からの着信に違和感を感じながら電話に出た。



『はい?』


「あっ!!お兄?誕生日おめでと〜♪いくつになったん?笑」


第一声からテンションの高い海に、若干引きながらも…悪い気はしない



『あ、ありがと。聞かないでくれますか?』


「あはははは〜!てかさー…、兄妹やのに今まで何もしてあげれんくて、ごめんね…。」


いきなりシンミリし出す海を不思議に思っていたら…


「アタシ、お兄の事好きやから!お姉もお兄も幸せになってもらいたいの!!これ位しか出来ないアホな妹でほんまにゴメン…。」


『これ位!?ってか、マリッジブルーか〜?まだ早いやろ〜?笑』


「可愛い妹がひとつ…予言します♪今日は、お兄にとって素敵な1日になるよ♪それじゃあね〜。」


ピッ……


『は?どう言う事!?てか、切られた…』


受話器から“プーップーッ”って音が虚しく響く…。



『自分で可愛い妹とか言うなよ(笑)…それより、素敵な…1日…?ってなんや?』







海の電話から数時間後…未だに意味が分からず

時計の針は、ちょうど正午を指し…

腹が減った俺は、すっからかんの冷蔵庫を見て落胆する



『はぁー…、コンビニでも行こ…』


一人暮らしをしてから、更に独り言が増えたと思う…。苦笑




財布と鍵を手に家を出て、エレベーターで降りると

涼しい風が頬を撫でた。








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