窓、ひらけば君と恋。

悲しみと恋心

昼休み、松原君と香奈の姿がなかった。


「香奈どこ行ったか知らない?」


彩夏は何も知らない。


「もし、香奈が帰ってきたら優しくしてあげてね…」


私はそう言うと教室を出た。


彩夏…ごめんね。詳しく教えてあげれなくて。


私は屋上に向かった。


ドアが全開になっていた。


辺りを見渡しながら屋上に足を踏み入れた。


そこには松原君の姿があった。
香奈は…いなかった。


「松原君…」


松原君はゆっくり振り向いた。


「傷つけた…ゴメン…」


松原君…



「付き合えないって言った。オレの我が儘でゴメンって…」


「香奈はなんて?」


「笑顔で…分かってるって言って出てった…」


「オレは間違ってたのかな…」


松原君は全ての自信を失っているように見えた…



「松原君が決めたことなら、香奈は分かってくれるよ…」


私はそう言うと屋上を出た。



途中で山本君に会った。



「あ…蒼井さん…」


山本君が私に気付くと近づいてきた。


「南さんが探してたよ」


彩夏が?てことは、香奈…教室に戻ってたんだ。



「……そう…」


「ねぇ…どうして、いつも淋しそうな顔してるの?」


「私が?」


「うん。笑顔…見てない気がする…今の桐原さんみたい」


沙織さん…?


「今って…元気ないの?沙織さん…」


「うん…オレがこっち来るときも元気なかった」


「いつから…」


「多分…入院してたときがあったんだけど、その頃から…」


「その話、放課後詳しく話してくれないかな」



「うん…」




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