半径1㍍禁止

上を見上げて、正体が分かった。


私が大嫌いな笑顔。


「何か用?」

私が言った。

「…強がっちゃってさー。
なんか、あった?」


「何にも…、ない。」

涙まじりの声で言った。

「あそ。」

桐斗が笑う。


どうやら、私が泣きそうになってるのが
嬉しいらしい。


桐斗が私の目の前にしゃがみこんだ。


「何よ?」

私が睨む。

「泣き顔、そそられるんだけど。
……襲っていい?」

そう言って、顔が近づいてきた。


「…なっ!?…んふっ…ぁっ…。」

唇が塞がれた。


「藍衣。」

耳元で囁かれる。

「…ひゃっ…!」

私が思わず声をあげた。

それを見て、桐斗が笑う。


遊ばれてる…。

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