半径1㍍禁止

紛れもしない、裕と真美の声。


「…ゃっ…ん…ぁ…。」

バレちゃうじゃんっ!


「どこ行ったんだよ。」

「ほら~、怒ってまた喧嘩しにいっちゃったのかもよ~!」

真美が言う。

「いや、それはないな。」


――ガチャ


そう言って、ドアが閉まった。


と、同時に唇が離れた。


「はぁー…。」

苦しかった。

「…邪魔しやがって。」

桐斗が不機嫌に呟く。


あんなに、怒っていたのに。

約束を破ったのに。


裕は、探してくれてたんだ。


なのに、私は。

こんな所で、こんな事をしていて。

改めて、私は何をしてるんだと思った。


「帰らないと。」

私が言った。

桐斗を見ると、冷たい目をしていた。


「なんで?裕が探してたから?」

桐斗が馬鹿にしたように笑う。

< 114 / 504 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop