半径1㍍禁止

スリル


桐斗が、私の首筋に顔をうずめた時。


「ちっ…。」

いきなり、桐斗が離れた。

「…ん。」

私が起き上がると、桐斗が教室の片隅に隠れた。

「早く。」

そう言って、手招きしてくる桐斗。

私も、急いで桐斗の近くに隠れた。


「藍衣。」

小さな声で、名前を呼ばれて。

「何?」

後ろを振り返ると、口を塞がれた。


もちろん、唇で。


「…ん~!!」

呼吸の準備ができてなかった私は、苦しくて桐斗の胸板を叩く。


すると、

――ガチャっ

いきなりドアが開いた。


びっくりして、叩くのをやめた。

「…ふっ…ぁ…。」


教室の電気がつく。


「ここにも、いねーし。」

「もう~、裕のせいなんだからね!
藍衣、どこ行ったの~!」

裕と真美の声だった。

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