放浪カモメ

眼も眩むような日差しがガラス張りの廊下に差し込む、そんな晴れた日だった。


「次の講義は…っと。げ。『神学』じゃねーか。」

長々と神様やら宗教やらなんちゃらを(あまり覚えていないらしい)聞くだけの退屈この上ない授業。

居眠りにこけるのすらも勿体無い気がして、俺は溜め息をもらす。

そして講義に出席するか、しないか考えながらロビーをふらふらとしていた時、俺の目の前を神学の講師の先生が通り過ぎていった。

どうやら、先生からは丸い石柱が死角になっていて俺の姿は見えていなかったらしい。

いつもならサボり癖のある俺を見つける度に、ガミガミと突っかかってくるので、正直ほっとした。

「へへ。ラッキー。"あそこ"行くかな……」

先生を見送った俺は別棟を駆け上がり、卒業生の先輩に聞いた"先生達の目が届かないことで有名な穴場スポット"へと向かっていく。

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