共鳴り
清人はあの時のことを振り返って、「で、何でああなったんだっけ?」と本気で言っていた。


曰く、朝からムカついてて、久々に学校行ったら何かモメてたから、俺も暴れたかったんだよなぁ、と。


アホか、お前は。


まぁ清人の場合、それが本心かどうかはいつもわからないんやけど。


アイツも当時、色んなもんを抱えてた。


もちろんそんなん知らんかったから、俺むっちゃ腹立って。



「俺はお前らみたいにのうのうと生きとるわけちゃうねんぞ!」


彼の胸ぐらを掴み上げた。


なのに、



「お前、自分だけが不幸だとか思ってんじゃねぇよ。」


まさか、そんなこと言われるなんて思わなくて。


思わず拳を止めた瞬間、ボディーに一発。


おいおい、それってないやん、って。


けど、今考えたら、ホンマその通りやで。


多分俺、無意識のうちに不幸クン演じて斜に構えるようになってたんかもしれん。


やけどその時は、むっちゃ悔しかってん。



「…何やと?」


眉を寄せる俺も無視で、清人はため息を混じらせた。


そしてきびすを返すと、彼はそのまま、遅れて到着した教師の怒声に連行されていく。


それで一応、事態は終息。

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