共鳴り
冷静になってみたら、頭ん中はぐちゃぐちゃになってた。


俺だけお咎めなしってのにも、正直腹も立ってたし。


つーか俺、山下にも負けたことなかったのに、何でアイツはあんなに強いねん、って。


だって、山下ってゴリラやで?


けど清人は、あんなひょろひょろで俺より背低いくせに、めっちゃパンチ力とか凄かってん。


アイツには敵わんと思った。


何でも一番が好きな俺やのに、負けた気しかせんかったわ。


思えばあの時から、俺の目標は清人やったんかもしれんけど。






清人は停学になった。


中学生で停学とか聞いたことないけど、でもなってたんや。


元々アイツ、教師から疎まれてて、「お前はなるべく学校に来るな。」って言われてたらしい。


やから学校行事とか、本人の意思は関係なしに、出させてもらえんかったって。


学校側もPTAの目とか気にしてたんやろうけど、大分後になってそれ聞いた時、悲しい気持ちになったっけ。


でも清人はいつも、「そういうので人間をはかるモンじゃねぇ。」って言うねん。


やから多分、気にしてはなかったと思うけど。


そういう時代やったとはいえ、ホンマ、大人は勝手やと思う。

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