共鳴り
「…は?」


いやいやいや、意味わからへんし。


思わず眉を寄せた俺に、清人は更に言う。



「お前のこと裏切って、良い?」


コイツは起き抜けに一体何を言い出してるんやろう。


清人を見て、そしてレナちゃんを見たけど、言葉の真意を探ることは叶わない。



「何考えてんねん?」


問うたが答えは聞けず、彼は押し黙る。


それでも、ふたりで何かを決めたような顔してて、俺は首をひねった。


“裏切る”ってことが何を意味するのかはわからんけど、もう、ふたりで幸せになって欲しいと思ってることには変わりない。


結局、俺はため息混じりに肩をすくめて見せた。



「何やようわからんけど、どうせお前、勝手に決めたんやろ?
やったら大親友の頼みやし、好きにせぇとしか言えんわ。」


諦めたように言うと、清人とレナちゃんは顔を見合せて小さく笑う。


ふたりはもしかしたら、この街から飛ぶんかもしれんけど、それでも良い。


生きててくれたから、俺にはもうそれだけで良かったんや。


もう清人は、これ以上いらんもん背負って苦しむべきやないねん。



「嶋さんは?」


「何やアニキらと話し込んどったで。
そら、チャコールの内部事情アイツがゲロったらシャレんならんからなぁ。」


まぁ、任せとけばえぇみたいやけど。


そう付け加え、神妙な顔した清人に心配するな、と言ってやった。

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