共鳴り

立ち位置

俺も清人も、ヤクザでもないけど堅気でもない、中途半端な存在やった。


やから組の人間からは疎まれてたと思う。


けど結局、ヤクザの世界ってどれだけ金を納めるかで決まるんや。


ぶっちゃけ俺ら、めっちゃ稼いでた。


当然、嶋さんや国光さん、そういう上の方の人間に気に入られてたからこそ、表立ってどうこうってこともなかったんやけど。


俺らはただ、生き抜きたかっただけで、組がどうとか興味なかってん。


まぁそれやからこそ、余計に嫌われてたんやろうけどね。





嶋さんって人は、自分に従順であれば害はない。


それどころか飯連れてってくれるし、だからなのか俺は、嫌いになりきれなかった。


国光さんも普段は面白い人ってだけやし、レイコさんにしても送迎頼まれて仲良くなってたから、やっぱただの変な人ってだけやし。



「あいつらに気許してんじゃねぇよ!」


でも清人は、よく俺にそう苦言を呈してた。


確かに清人の言ってることはわかるし、あの人らの所為で、ってのもあったんやろう。


けど俺、わからんくて。


清人みたいに割り切れんし、みんな根っからの悪い人じゃないの、わかってしもうたから。


やっぱ俺、基本“みんな仲良し”が好きやねん。





ある時、清人がトラブってどうにもならんくなった時、嶋さんが間に入って即問題終結したことがあったけど。


清人はホンマに悔しそうやった。


嶋さんにだけは助けられたくない、って思いもあったんやろうし、アイツよく嶋さんに噛みついてたからなぁ。


無力やってん、結局は。


いつから清人、常に泣きそうな顔を堪えたような表情ばっかになってしもうたんやろう。

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