星に願いを…

流れ星

出会いは普通だった。
いや、彼女が世にいう芸能人だとすれば普通の生活をしていれば出逢えないだろう。

だけど普通だったのだ。


その時、川島は23歳大学を卒業して、念願だった出版社の記者として働いていた。

大手とは程遠いが、夢だった記者という職に就けた事が、忙しい毎日にやる気と充実感を与えていた。


1日という時間は早く、毎日遅くまで働き、睡眠不足は当たり前。理想と現実とのギャップ。
そんな事を考えるよりも、その日、1日の仕事をこなしていくのでいっぱいいっぱいだった。


だから、たまの休日があると、とたんに何をすれば良いか分からなかった。
無性に身体に鞭打って、動いていないと不安になった。


『仕事の虫だな』そう思った川島は、たまには家でのんびり過ごそうと家の近所のレンタルビデオ屋に足を向けた。


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