国王陛下は純潔乙女を独占愛で染め上げたい
窓の向こうには、多くの星々が自分の存在を主張するかのように輝いている。
政務におわれ、星を眺める余裕もなかったな、とマルスはほっと息をついた。
政というものが、こんなに大変なことだとは、思いもしなかった。
足を踏み入れる以前は、面倒だが、簡単な仕事だろうと思っていた。
自分が一声かければ、それが良い方向に向かって一気に解決し、民の尊敬を受けるのだろうと。
しかし、学べば学ぶほど、それがいかに難しく、労力を要するのかということが、ようやくわかり始めた。
民の正義というのは、必ずしも一つではない。そこには多くの人間の意志や、利害関係、歴史を含んでいる。
こちらに良いと思えば、あちらには悪く、そちらの意見を取り入れれば、こちらからは不満が噴出する。
誰も彼もが、満足する方法など、ないのかもしれなかった・・。
・・父上は今頃どうしているのだろう。
ふいに、何もかもを捨てて出て行った父のことを思い出し、マルスは無性に彼に会いたくなった。
当時は、また父の悪い癖が出たくらいにしか思っていなかったが、父が何を思って世界を見たくなったのか、
そこには、表面に見えていたもの以上に深い意味があるのではないか。
マルスは、今になってそれを理解したいと思っていた。